【アメリカン・ドリーマー 理想の代償】レビュー

日比谷シャンテで観てきました。
ネタバレ注意です。

舞台は統計史上最も犯罪が多かった81年、ニューヨーク。

主人公の聞いているラジオからは犯罪のニュースが止みません。窃盗、強姦、殺人、、、そんな時代背景で、成功をおさめようと翻弄するひとりの男がいました。主人公は、石油売買で事業を拡大し、成功をおさめている移民のアベル

狂気に満ちた時代に真っ当な野心を持ち、『最も正しい選択をしてきた』と自負するほど常に“正しさ”と向き合い、事業拡大のために石油プラント付きの好条件な土地の購入を計画します。

しかし、彼の道にはそんな彼のモットーを揺るがし、弊害となる出来事が立て続けに起きます。

彼の会社の石油を運搬するトラックドライバーが次々と襲われ、トラックごと石油を盗まれる。
成功の証ともいえるほどの豪邸に不審者が入り、妻や子供たちを脅かし、さらには検事に脱税や詐欺の疑いで検査に入られる、、、

そして、トラック強奪に脅えたドライバーが銃を所持し、発砲、警察に追われることに。
そんな事件を受け、融資を受けるはずの銀行から、断られることに。
破産か、新たな融資を見つけるか、アベルは窮地にたたされることとなります。

個人的には絶対に裏があるだろうな、と思っていた奥さんが、最後の最後で隠していた利益を貯めていた銀行口座を明かし、家宅捜査が伏線だったのか‥と合致。いつの時代でも女の人は最後で冷静、そして喰えない。

主人公が、正体不明ななにかに追われる姿はハラハラしますが、最後のネタあかしは少し急ぎ足だったかな。
兎にも角にも、副題の“理想の代償”とは言い得て妙で、彼も成功と引き換えに精神論や理念だけではどうにもならない、ということを最後に痛感したのではないかと思いました。


正論は必ずしも最善ではない、正しさや理念は、いつも自分を守ってはくれない、そう感じました。何にせよ、“後悔しない選択“をし、その選択が正しかった、と思えるような道を歩いていきたいと思いました。